高校生のみなさんへ

(2025年7月)

こんにちは!化学物理工学科のこのページの中の人です。
2024年まで化学物理工学科の高校生向けのページって実はありませんでした。ただ、高校生のみなさんに我々のやっていることや魅力を伝えるためには、わかりやすいページが必要なのでは?ということで、このページが立ち上がることになりました。全部読むとちょっとした長文なので、興味があるところや、その前後あたりをご覧になってください!(2025年7月に情報を更新しました!)

目次

化学物理工学科ってどんな学科?

「工学」というのはざっくりいうと「社会の役に立てるための学問」と思ってもらって大丈夫です(*)。つまり、工学部自体が「(何かしらを)社会の役に立てるための学問を学ぶ学部」ということになり、化学物理工学科は「化学と物理を社会の役に立てるための学科」ということになります。じゃあ、どうやって役に立てるの?というところは後ほど解説します。

*「工学」とよく比較される学問は、「理学」で、これは「ものごとを突き詰める学問」と言えます。

化学物理工学科が化学・物理両方を扱う理由

次は、化学物理工学科ではなぜ、化学と物理の両方を扱うのか?について説明します。みなさんが今勉強している内容は、化学や物理、生物などに分かれていると思います。中の人が高校生のときも同じでした。一方で、社会を見てみると、化学や物理の両方がかかわっていることが実にたくさんあるんですね。例えば、お薬(医薬品)などは「化学」物質からできているわけですが、これを均一な品質を持つように生産しようとすると、そのための装置が必要になり、「物理」の知識が必要になります。電線や太陽電池を見てみても、電線が電気を運んだり、太陽電池から電気が生み出される仕組みは「物理」なわけですが、その物質は「化学」なわけです。

このように観察してみると、世の中で皆さんの役に立っているものの中には、化学・物理の両方が高いレベルで組み合わさっているものがたくさんあり、それが年々どんどん増えてきている状況になっています。でも、世の中では両方を高いレベルで学べる学科がまだない…化学物理工学は、そんな「化学」と「物理」両方の知識を必要とする「これからの社会の要請」に応えるために新しく設立された学科になります。

コラム:化学・物理とノーベル賞

ノーベル賞一つとっても化学と物理の境目は無くなりつつあります。2023年度受賞の「量子ドットの発見と合成」をご存知の人もいるかもしれません、量子ドットとは「とても光るナノ粒子」で、量子ドットが光る仕組みは、ごりごりの物理なわけですが、これを安定的に合成できる方法を発見したということで「ノーベル化学賞」が授与されています。

もう一つ、2019年度の「リチウムイオン電池の開発」も電池が電気を貯める仕組みは物理化学と呼ばれる学問ですが、リチウムイオン電池を安定して使える材料を開発したということで、「ノーベル化学賞」が授与されています。

逆に、2014年度の「青色LEDの開発」は、青色に発光するLEDの化学物質を発見したわけですが、発光の仕組みが物理ということで、「ノーベル物理学賞」が授与されています。このように、「化学」と「物理」の垣根はどんどんと下がってきています。ちなみに、化学物理工学科では、量子ドットリチウムイオン電池の研究もできます!

化学物理工学が社会の役に立つ例

次に、化学物理工学が実際にどうやって社会の役に立つのかをお話ししたいと思います。例えば例として、化学の方を社会に役に立てるというのは例えばどんなことなのか。例えば、みなさんが薬や飲料を安心して口にできたりと、みなさんが便利に生活できているのは「高品質」で「均一」な製品が「大量」に供給されているからなわけですが、実はこれは意外に簡単なことではないんですよね。

例えば、コップに水と食塩を入れて混ぜるくらいならなんてことないですが、じゃあ大量に作るということで、プールにざばっと食塩を入れて、均一に混ぜて下さい、となっただけで実は超大変になるわけです。他にも、蜂蜜みたいな粘っこいものを混ぜて均一にしなければならないとなると(例えばプラスチックとかを作るときはとても粘度が高いのですが)、これも実は超大変です。こんなときに、化学物理工学はどう攪拌すると効率よく均一にできるのか、を考える枠組みを提供します。攪拌に限らず、高品質なものを大量に均一に作るのに考えなくてはいけないことは他にもたくさんあり、それ自体もほんの一部で、たくさんのことを学びます(カリキュラム ※1, ※2 も参照)。

また、例えば環境問題などを考えてみると、化学物質が形態を変えながら(例えば炭素は石油中にもバイオマス中にも、またCO2としても存在するわけですが)地球全体を循環しており、物質の変換には化学、物質の循環には物理の知識が必要になります。エネルギー問題に関しても、ノーベル賞で述べた電池の話然り、太陽電池も仕組みは物理で、材料は化学ですし、ものを燃焼させてエネルギーを得る場合でも、燃焼は化学、エネルギーの取り扱いは物理と、化学と物理両方の素養が必要不可欠であり、世界中の環境・エネルギー問題を考えるには化学と物理の理解がとても大切になってきます。

化学工学,物理工学は就職とも、とても相性が良い!

化学物理工学科は2024年度に初めて大学院の修士が卒業しましたが、この最初の年度からほぼほぼ一部上場(という言い方は最近はあまりしないようですが)の企業に就職しています。ものは、たくさん作ることで儲けがでてくるわけですので、何かを「高品質に均一に大量生産」したいという会社は本当にたくさんあります(ちなみにたくさん作ると単価は安くなってみなさんの手元に届きやすくもなります)。

だから、その知識を持つ人はとても重宝されます。特に農工大自体も就職に強い大学なので、それもあいまって、(中の人がどちらかというと化学工学なのでそちらの話をしますが)農工大の化学工学系はもともと非常に就職に強い実績があり、機械系と同じくらいに強いとも言われます。初年度実績を見る限りにおいても、化学物理工学科の就職実績も、農工大×化学物理工学も相当就職に強く、しかも物理系と化学系両方の内定を取っている学生さんも少なからずいるようで、ここは自信を持って本学科をオススメできるところです。

旧学科の卒業生の就職先(2023年度以前の事例)

化学物理工学科のカリキュラム

さて、そのような化学物理工学科で化学と物理を学ぶために、どのようなカリキュラムになっているのか、説明したいと思います。

カリキュラムを見てみると(ちょっとたくさんあって見にくいのですが)、下から1年から4年生の順番になっていて、1~2年生では化学、物理、物理等の基礎的な科目を学びます(生物や地学も学べます)。2年生の後期になると、化学物理工学の中でも「化学工学」「物理工学」のいずれかのコースに進みます(それぞれ化学・物理を社会の役に立てるための学問)。どちらかに軸足をおき、より専門性を高める形になります。ちなみに、時間割が許す限り他コース履修も可能なので、両方ともがっつり勉強することも可能です。

そして3年生になるとどちらのコースでも「エネルギー」「環境」「新素材」「量子」の4つの「出口」を意識して作られた「エネルギー・環境」「新素材・量子」科目パッケージの中から一つ以上を選んで学ぶことになり、このように2~3年生はそれぞれの興味に従って勉強内容を選ぶことができます。3年生の後期からは研究室に配属しながら卒業論文に取り組んでいくことになりますが、このとき、選んだ「コース」や「科目パッケージ」に依らず、全ての研究室(2025年度現在23研究室:研究室紹介のページを参照!)を選ぶ権利があり、興味に合った学習と研究を両立できるカリキュラムになっています。

化学物理工学科に合う人はどんな人?

ということで、(1)化学と物理の両方が好きな方は、この学科が一番のおすすめとなりますが、カリキュラムを見ていただいて分かる通り、最終的には「化学(工学)」「物理(工学)」のどちらかに軸足をおいて勉強を進めることから、(2)今現在化学が好きで、物理は苦手なんだけど、その大事さはわかっているんだよね…という人や、逆に(2)今現在物理が好きで、化学は苦手だけど、まあ重要さは認める。といった人にも、ぴったりの学科だと言えます!

まとめ、化学物理工学科の魅力

化学物理工学科に入るための入試制度について

東京農工大学の工学部には大きく分けて4つの入試があります。①一般選抜(前期)41名程度、②一般選抜(後期)31名程度、③総合型選抜(SAIL入試)5名程度、④学校推薦型選抜(推薦入試)4名程度 の4つになります。国立大を志望される方は①、②については良くご存知かと思いますが、化学物理工学科の受験について少し補足しておくと、①前期、②後期とも、大学入学共通テストでは6教科8科目、理科は物理・化学の両方の受験が必要になります。

③SAIL入試は、高校などで行った研究活動を、第一次選抜ではレポート(特別活動レポート)として評価し、続く第二次選抜ではプレゼンとして発表・質疑応答をしてもらい、それを評価する形式になります。高校で研究活動をしていなくても、夏のオープンキャンパスに合わせて行われる、化学物理工学科主催の「高校生のための体験教室」に参加して、その内容を使って出願することもできます(合格実績もあります)。9月上旬の出願になりますので、ご注意ください。

④の推薦入試は、個別学力検査を受けずに、大学入学共通テストと推薦書・調査書で合否が決定する形で、共通テストに関しては数学、理科、外国語を均等に評価します。現役生から一郎までが出願資格があります。

化学物理工学とは?(wikipediaの記事)

 

Tokyo University of Agriculture & Technology 

Applied Physics and Chemical Engineering (APCE)

Where chemistry and physics meet the real world

Updated July 2025  ·  For prospective students

Most university departments teach either chemistry or physics. Ours teaches both — because the real world doesn’t respect that boundary.

What is “Engineering” anyway?

In Japanese high schools, you learn chemistry and physics, but rarely “engineering.” Simply put: engineering is the application of science to benefit society. So APCE is about putting chemistry and physics to work for the world.

Think of it as the bridge between scientific knowledge and things people actually use.

Why chemistry AND physics together?

Look at almost anything useful in modern life, and you’ll find chemistry and physics are already inseparable:

Example
Pharmaceuticals

The drug molecule is chemistry. The industrial process that makes it consistently and at scale? Physics.

Example
Solar Cells

The material is chemistry. The mechanism that converts sunlight to electricity is physics.

Example
Lithium Batteries

Won the 2019 Nobel Chemistry Prize — yet how they store energy is physics.

Example
Blue LEDs

Won the 2014 Nobel Physics Prize — yet the light-emitting material itself is chemistry.

Nobel Prize categories themselves are blurring. This department was created precisely to train people for that blurred, exciting frontier.

How does it help society?

Consider something as simple as mixing salt into water — trivial in a cup, incredibly difficult in an industrial tank. Now try mixing something as viscous as honey (plastics manufacturing is like this). Getting a product to be high-quality, uniform, and mass-produced is an enormous engineering challenge. That’s the kind of problem this department solves.

The same applies to climate and energy: carbon cycles through oil, biomass, and CO₂ — understanding that requires both chemistry and physics. So does designing better batteries, fuel cells, and emissions systems.

Career prospects

The department’s first master’s graduates (2024) secured positions almost entirely at major listed companies. Chemical and process engineering skills are in constant demand — any company that makes physical products at scale needs people who understand how to do it well. TUAT’s engineering faculty already has a strong employment reputation comparable to mechanical engineering programs.

Notably, some graduates received offers from both chemistry-sector and physics/materials-sector companies — a unique flexibility from the dual-track training.

Curriculum overview

Years 1–2 cover foundational chemistry, physics, and mathematics. From 2nd year (second semester), students choose a track:

Chemical Engineering Track | Applied Physics Track

In 3rd year, students choose a thematic package from four “exit directions”:

Energy & Environment | New Materials & Quantum

From late 3rd year, students join a research group/lab (23 labs as of 2025) and work toward a graduation thesis. Importantly, lab choice is open to all tracks — your track doesn’t limit which research group you can join.

Is this department right for you?

You’re a good fit if any of these sound like you:

  • You love both chemistry and physics equally
  • You love chemistry but see why physics matters and want to learn it
  • You love physics but can see how chemistry underpins materials and matter

You don’t have to be equally strong in both — just open to both.

Tokyo University of Agriculture & Technology · Dept. of Applied Physics and Chemical Engineering