長津雄一郎教授、鈴木龍汰特任助教らが「2022年度 化学工学会 粒子・流体プロセス部会フロンティア賞」を受賞

2023年3月15日

工学研究院 応用化学部門 長津雄一郎 教授、グローバルイノベーション研究院 鈴木龍汰 特任助教(JSTさきがけ研究者「複雑流動領域」兼任)らが、2023年3月15日(水)「2022年度 化学工学会 粒子・流体プロセス部会フロンティア賞」を受賞しました。長津研究室からは2019、2020年度に次ぐ本賞受賞となりました。

■受賞名
2022年度 化学工学会 粒子・流体プロセス部会フロンティア賞

■受賞者
平野 紗愛(東京農工大学大学院・卒業生、2021年度 博士前期課程修了)、長津 雄一郎(東京農工大学大学院・教授)、鈴木 龍汰(東京農工大学大学院・特任助教、JSTさきがけ研究者「複雑流動領域」兼任)

■受賞概要

受賞論文:「Reversal of effects from gel production in a reacting flow dependent on gel strength, Physical Review Fluids, 7, 023201 (2022)」
論文内容:これまで、化学反応により粘度や密度などの流動に関わる物性値が変化する場合、反応が流動に及ぼす影響は、その変化に応じ単調的に変化する(物性値変化が大きいほど流動に及ぼす影響が大きい)と考えられてきた。本研究では、物性値の中でも粘弾性に着目し、反応による粘弾性変化の影響が、その増加の大きさに応じて、逆転することを突き止め、新たな数理モデルを提案し、逆転現象の原因を解明した。この逆転現象は、反応による粘度変化を考慮した既存のモデルでは説明できず、粘弾性の効果を加味した新たな数理モデルを構築し、説明した。このモデルから、この逆転効果はゲルが複数の粘弾性特性を持ち、どの特性が流動に最も寄与するかが、ゲルの弾性率により異なると結論付けた。本成果は、反応が流動に及ぼす影響は、反応によって引き起こされる物性値の変化の大きさに応じて単調的に変化するという反応流研究の常識を覆すものであり、反応流の研究を新たなステージに導く、極めて高いフロンティア性を有するものである。また本成果は所属機関からプレスリリースされ、国外の複数のメディアの電子版でも取り上げられた。

賞の概要:本賞は、化学工学の粒子・流体プロセス分野に関連する国内外の学術雑誌や同関連の国際会議等での査読付きProceedingsに掲載された論文の中で、特にフロンティア性の高い優秀な研究論文で、本部会会員が著者になっている論文に贈賞されるものである。


粒子・流体プロセス部会 フロンティア賞(化学工学会 粒子・流体プロセス部会HP)(別ウィンドウで開きます)