Interview: 香取 浩子(磁性・材料物性)Prof. Hiroko Katori (Magnetism in Condensed Matter)

● 先生ご自身の研究内容について教えていただけますか。また、今後先生の研究が目指すところについてもお聞かせください。

様々な磁性体で生じる相転移(秩序形成)を研究対象にしています。新しい磁性体を作り出し、スピン・結晶格子・電荷がもつ自由度の絡み合いにより 生じる相転移現象の学理を追求するとともに、それに付随する機能の開拓を目指しています。自然科学・社会科学の世界で生じる協力現象の中で最も単 純な協力現象が磁性体で生じる相転移です。その機構の解明は、社会のより複雑な協力現象の解明に繫がると考えています。磁性体は暮らしの中の様々なところで使われており、例えば車では、窓の開閉、ブレーキ、ワイパー等の動力源に磁性体を組み込んだモーターが使われ ています。従って、優れた磁性体を用いることでエネルギーの効率化を図ることができます。また、磁性体として最も身近な存在である永久磁石にはレアメタルが多く使用されていますが、資源の枯渇の問題などから、現在ではレアメタルに代わる元素を用いた新しい磁石の開発が求められています。新しい磁性体の開発は、このような「エネルギー」や「環境」の問題にも貢献することができます。

● 東京農工大学の学びの特徴はどのようなところだとお考えですか。

磁性体の研究では、まず、研究目的に適した物質を合成します。そのためには「化学」の知識が必要です。次に、合成した物質の性質を様々な測定手法 を用いて調べ、それらの結果からどのような秩序形成が生じているかを解明します。そのためには「物理学」の知識が必要です。このように、研究の遂 行には幅広い知識や経験が必要ですが、「化学」と「物理学」のどちらも学ぶことができる「化学物理工学科」は、そのような能力を持った学生を社会 に送り出すことができるオンリーワンの学科だと思います。また、教員一人当たりの学生数が少ないため、教員から手厚く研究指導が受けられるのも、 本学の大きな特徴だと思います。

● どのような学生に入学して欲しいとお考えでしょうか。

「科学」にはまだまだ未解明のことがたくさんあります。「なぜ?」「どうして?」と常に疑問を持ち、その疑問を解明したいという「科学に対する強 い思い」を持つ学生と一緒に研究を進めたいと思います。

● 先生が学生に指導する際に心がけていることを教えていただけますか。

研究を進めていく上で様々な専門知識が必要です。しかし、実際の研究活動では、専門知識に加えて日常生活の中から得た幅広い知識やアイデアを総動 員した「深い考察」を行い、問題解決のために最適な手法を選び出すことになります。「深い考察」をたくさん行い、また、いろいろな問題解決の手法 を経験することが、卒業後、技術者や研究者として活躍していく上で必要なことです。そのため、研究室での研究活動では、研究テーマの立案・研究計画などを、できるだけ学生自らが考えるように指導しています。

●この記事を読む受験生、高校生に向けて一言メッセージをお願いします。

大学入学は、将来に向けての「第一歩」です。入学後、皆さんが希望する道へ進めるようにサポートするのが大学の役目だと思います。是非、化学物理工学科から世界に羽ばたいてください。


教員名:香取 浩子 

(Hiroko ARUGA- KATORI)

Interview: 2081/8/1

Other interviews ⇒ 他のインタビュー記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です