Environmental sensor: 新しいコンセプトの表面分析法

有機分子で被覆された表面に対して、SERS(表面増強ラマン散乱)法によって、100nm以下の解像度をもつ「粒子センサー」を用いた「表面マッピング検査」技術が開発されました。モデル表面として、ディップコーティング(dip-coating)法において基板の引き上げ速度をパラメータとし、基板表面上に形成された分子「群のパターン」の空間的分布を使いました。

「センサー」粒子として、約50nmの間隔で気中から集積させたAg(銀)ナノ粒子を用いました。各計測点から得られたSERSスペクトルは、分子「パターン」の位置に変換され、表面上の分子「パターン」の空間の情報が得られました。ラマン散乱光の強度の平均値には依存性がないことに対し、SERS上の任意ピークの発生頻度は(単位面積当たりの分子の質量濃度に比例した)引き上げ速度の2/3べき乗則(power law)と相関します。

* 従来法: 固定化された金属粒子の上に目的の分子を付着させる。
* 本研究: 目的の分子(層)の上にナノ粒子を付着させる。

この新しいセンサー技術は、例えば農薬に汚染された表面(葉など)の検出に役立つと考えられます。市販の携帯型ラマン分光器との組み合わせで、on-site(その場)で分析が可能になり、現場から対象物(例えば植物)を大型ラマン分光器にある場所(ラボ)に持ち込む必要がなくなります。この技術を発表した日本エアロゾル学会では、Iinoya賞(アイデア賞)を受賞しました。

本研究の背景には以前の研究成果(JJAP,2011)が関係しています。凹凸に処理したシリコン表面にAgナノ粒子を集積させたSERS用基板とした研究です。その基板に微量な(有機系)農薬成分を塗布した後にラマン散乱分光に基づいた分析を試みたところ、ppbレベルの検出ができました。凹凸とナノ粒子の構造により表面増強のスポット数が増加し、センサー感度が向上したと考えられます。

(文責:レンゴロ研究室)

Aerosol nanoparticle sensor system for probing a dip-coated layer of organic molecules, at sub-100 nm resolution (RSC Adv. 2014). A surface coated with organic molecules has been probed by surface-enhanced Raman scattering (SERS) technique after the deposition of particles (~50 nm) from the gas-phase at sub 100 nm resolution. The spatial distribution of those molecules formed on the surface was altered by a dip-coating method as a function of a substrate-lifting rate. These analyses provide spatial information on the molecules over the surface, when SERS spectra of each measurement point are converted into the position of molecules. The occurrence frequency of SERS is found to be correlated with the 2/3 power law of the lifting rate (which is proportional to a mass concentration of molecules per unit area), whereas the average Raman intensity is independent.

* Conventional method: Placing the target molecule on the fixed metallic nanoparticles.
* Our method: Placing the metallic nanoparticles on the target molecule (layer)

References: RSC Advances and  www.rsc.org/suppdata/

本研究を担当した学生は 東京農工大学で学士~博士号を取得した後に東北大(研究員・助教)に勤務し、2015年からは香港市立大学(大気汚染研究グループ)へ異動。本SERS法は捕集したPM2.5の有機成分の分析に適用されています。Main researcher: Masao Gen (B/M/D with TUAT, then Tohoku Univ. 2014-2015 as Researcher/Assistant professor) joined City Univ. of Hong Kong from 2015, where he applied this new SERS method for probing particulate matter (PM) collected as “air pollutant”. Reference: Atmos. Chem. Phys. 2017.